検査

インスペクションとパルペーション

フィクセーション・カンパセーション・サブラクセーションからサブラクセーションを見 つける方法です。これができなければどんな素晴らしい技術やテクニックも何の意味も持 ちません。

スタティックインスペクション(静的視診)

一番基本的な簡単な誰でもできる検査です、クライアントの立った状態・うつ伏せで寝た 状態を目で見るという事、しかし、この時にも注意する事があるのです、まずクライアン ト自信が真っ直ぐだと思う状態で立たせてみる、寝かせてみるという事、そこから術者が 見た真っ直ぐに立たせてみる、寝かせてみるという段階に移るのです。クライアントの 真っ直ぐと術者が見た真っ直ぐは違うという事を確認させる事が重要なのです。 そこで問題になるのが、真っ直ぐとはどこを基準に真っ直ぐとするのか?という事です、 最初に基準とするところはクライアントを立たせた状態であれば後ろから見て耳の左右の 高さ、肩の左右の高さ、骨盤の左右の高さ、膝の左右の高さ、外くるぶしの左右の高さが 地面と水平であるかという事、横から見た状態で耳の穴、肩の中心、大腿骨の中心、外く るぶしが一直線に地面と垂直であるか。先ずはこれは真っ直ぐだと仮定してクライアント の身体がどれくらい歪んでいるのかを診る。

モーションインスペクション(動的視診)

スタティックインスペクションから次はクライアントを動かした時の前後差や左右差を確 認する。分かり易いのはクライアントを立たせた状態で前屈と後屈の動きの違い、左右に 側屈させた時の動きの違い、上体を回旋させた時の動きの違いを目で見て確認するので す。 これで需要な事はクライアント自身が自分で動くという事、無意識に動くときのクライア ントの身体の癖や動きの悪いところ、動きを制限するところなどがあればその部分にサブ アラクセーションがあるかもしれないと目安をつけておくという事である、しかし、この モーションインスペクションやスタティックインスペクションでサブラクセーションを見 つける事はできないが、目安をつけるという事がとても重要である。臨床経験が増えると このクライアントの動きにもある法則性を見つけることもできると思うが、これは経験を 積むことで容易に見つける事ができるようになるが、一概にこうだからこうと簡単に結論 づける事はいい結果を生まない事が多いのでここでは動きを確認するということにとどめ ておく。

スタティックパルペーション(静的触診)

次は触って検査をすることです。これがスタティックパルペーション、俗にいう触診とい うモノである。 この時にもしっかりと手を作ってパルペーションをする事がとても重要である、手を作る 重要な理由としては手を感覚器としてちゃんと使えるようにするという事です、パルペー ションになれていないと力強く触ってしまう事があるのですが、特に指先は力強く触って しまうと感覚器としての機能が低下してしまうので、的確にフィクセーションを見つける 事ができなくなるだけでなく、クライアントに伝わる感覚も心地の良いモノで吐くなって しまうのである。 治療家のパルペーションはピアニストが流れるようにピアノを弾くように身体を触ってい くのである。 パルペーションの練習の一つとしては、ノートや本のページの間に髪の毛を挟んで一ペー ジづつページを増やしながら髪の毛を探すという方法がある。力を入れて髪の毛を探して も分からなくなってしまう事がわかると思います。 なるべく指先の力を抜いて、しっかりと感覚器として指先を使う事を身につける事ができ る。

モーションパルペーション(動的触診)

パルペーションに動きを加える事で、サブラクセーションとカンパセーションを見分ける 事ができる、そのためにモーションパルペーションはとても重要な検査の一つである。 クライアントに動いてもらいながら行うモーションパルペーションと術者が直接動かして 行うモーションパルペーションがある、どちらの場合も手を作ってクライアントに触るの はもちろんですが、しっかりと骨を触って動きを確認する事がとても重要である。 骨を矯正するためには、このモーションパルペーションでサブラクセーションとカンパ セーションを見分け必要がある。 そのためには、クライアントの骨のどの部分をどの方向に動かしているのか?動かしてい る関節の可動域はどれくらいあるのかを知る事、そして感じる事が重要なのである。 モーションパルペーションなくして整体治療はありえないと言っても過言ではないし、こ のモーションパルペーションの延長が整体的な治療の始まりなのである。

これらのスタティックインスペクション・モーションインスペクション・スタティックパ ルペーション・モーションパルペーションを総合的に診て姿勢分析とか歩行分析と運動分 析などと言うこともあるが、基本的に人間の身体や身体の動きを注意深く観察する事が重 要となる。 人の身体を注意深く観察した時に、不自然と感じるところがあると気がつく事が多い、こ の時に感じる不自然な感覚を治療家はとても大切にしなけばならないと僕は考えている。 数字で表す事ができないようなちょっとした不自然を感じる能力はベテランの治療家だけ が持つ特殊な能力ではくて、ほとんどの人が感じる事ができる能力である。 しかし、臨床を続ける事である種の基準を持つ事ができるようになるし、細かな不自然を 見つける事ができるようになるので、多くの臨床を経験する事はとても重要であり、常に人を冷静に観察する癖をつける事もインスペクション・パルペーションを上達させるコツである。

身体に触れる時の注意点

治療家が最も注意を払うべき時の一つにクライアントとのファーストコンタクトの瞬間が ある。このファーストコンタクトの時にクラアントに嫌な感覚を与えてしまうと全ての治 療の効果が半減する、いや治療の効果はなくなると言っても良い。

ペタペタと無意味な接触はしない事
指先の力を使って接触しない事
近づきすぎない事(特に顔を近づけすぎない)
言葉添えをする事
などがある。

特に男性治療家の場合、一つ触り方を間違えると女性のクラアントに気持ちが悪いという印象を与えてしまう事がある、こうなったら最悪である。だから治療家はクライアントと のファーストコンタンクとの時に最も注意を払う必要があるのだ。

真っ直ぐとは何が真っ直ぐなのか?

よく整体師やカイロプラクターが背骨が歪んでいるので真っ直ぐにします。とか歪みを矯 正しますとか言いますが、何を基準に真っ直ぐなのでしょうか?またどこを真っ直ぐにし ているのでしょうか? クライアントへの説明時に分かり易いように、言葉として真っ直ぐと言っているのでしょ うか? 本来、人間の身体は決して真っ直ぐではありません。言い方を変えると真っ直ぐは異常な のです。 真っ直ぐでない人の身体の真っ直ぐを決めるには、レントゲン写真に沢山の線を引き、骨 の角度を出して、指標となる骨の位置同士を線で結んでいかなえればなりません。 これはカイロプラクティックで使う手法であるが、とても時間のかかる上に実は正確では ないという欠点があります。それは人によって少しづつ骨の形や角度が違うからです。統 計的にというとても曖昧な結果となるのです。 しかも人間の身体は左右対象、シンメトリーではないのです、左右も非対称な身体の真っ 直ぐとは何なのでしょう?

僕は人の身体が真っ直ぐはないと考えています。 では何がいけないのか?
それは歪みです。

歪みとは?

歪みとは関節の可動域が減少している事を指していると考えます。 真っ直ぐでない事が悪いのではなくて、関節の可動域が減少してしまっている事が悪いの です。

また、人間の持つ能力に目線を地面に対して水平に保つという能力が備わっています、そ のために身体のどこか一ヶ所に不具合が生じてしまった時に身体の他の部位を補正する事 で目線だけは水平に保とうとするのです。 これが、サブラクセーションとカンパセーションの違いができる理由でもあるのです。 カイロプラクティックでよく使う考え方にブラザーボーンという考え方があります。頸椎 の1番と腰椎の5番がブラザーボーンの関係でどちらかが歪みを起こすともう一方も同じ ように歪みを起こすのです。 頸椎の2番と腰椎の4番・頸椎の3番と腰椎の3番という具合に順番にブラザーボーンの 関係があります。 ブラザーボーンについての説明はここではこれくらいにしますが、この関係もとても面白 い関係であり、他にも構造類似の関係など人の身体が持つ優秀な能力故に一ヶ所の不具合 が他の場所にも影響を及ぼすという事が多いのです。 このような関係や関連なども考慮して人の身体の歪みを観察し関節可動域を観察してみる 事が重要である。